いわしブログ

京都のウィンドミル代表いわしのブログです。wordpressやfacebookの設定、ブログ運営について備忘録代わりに更新してます。最近は動画も作ってます。

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ルネサスの苦境報道を見て「電子立国日本の自叙伝」を思い出す

      2013/09/14

電子立国日本の自叙伝
 
いわしは中学1年のときに、初めてコンピュータを買いました。中古のFM-NEW7という富士通のPCで、ロード/セーブはテープレコーダでした。
その当時、マイコンBASICマガジンというコンピュータ愛好家向けの雑誌があって、機種ごとにゲームなどのプログラムが掲載されていたので、それを見ながらFM-7用のプログラムをシコシコ打ち込んで、BASICやら何やらのお勉強をしてました。

その頃のPCと言えば、やっぱりNECのPC-8801やPC-9801が一番メジャーです。
他にも、富士通からはFM-7やFM-77シリーズ、シャープのX-1やMZシリーズ、X68000、MSXなんてのもあって、電機メーカー各社がそれぞれ特色のあるPCを出してましたね。
現在のPCならwindowsかmacかという状況とはえらい違いです。
いわしはPC-9801が欲しかったのですが、中学生には高嶺の花、中古のFM-NEW7を買うのが精一杯でした。それでもFM-NEW7が家にやってきた時はうれしかったなぁ。

それから3年後、高校生になってアルバイトができるようになったので、お金を貯めてエプソンのPC-286というPC-9801の互換機を買いました。
あこがれのPC-9801(互換機ですが)が買えた感動は忘れられません。
 

日の丸半導体が世界一だった時代

さて、その頃の日の丸半導体メーカーは、80年代に世界市場で80%のシェアを席巻するほどの黄金期を迎え、1990年の世界半導体売上高は、NEC、東芝、モトローラ、日立という順でした。NECが半導体売上世界一という時代もあったのです。
いわしはPCの中身に対する興味もあったので、半導体に関する本が結構好きでした。
その中でも、もう20年以上前に出版された「電子立国日本の自叙伝」はワクワクしながら読みましたねぇ。

コンピュータの元祖「ENIAC」やトランジスタの開発、半導体の黎明期から始まり、電卓戦争から登場したワン・チップ・コンピュータ、マイクロプロセッサーの元祖4004、日本企業も半導体やコンピューターの開発に鎬を削り、「産業のコメ」と言われるほど半導体が普及していった過程と開発のドラマ。まさしく、半導体版「プロジェクトX」でした。
windowsなんて影も形もない時代、いわしにとってPCといえばNECや富士通が一番であり、半導体もやっぱり日本製が一番だったのです。
 

ルネサスエレクトロニクスの苦境

そのNECが母体の1社であるルネサスエレクトロニクスが苦境だという報道を見るにつけ、当時の黄金期を知る者にとっては何とも言えず残念な気持ちになります。
NEC、日立製作所、三菱電機3社の半導体事業を統合して生まれたルネサスエレクトロニクスですが、ここ最近は立て続けに工場再編や閉鎖が発表されて、売り上げも規模もどんどん縮小していっています。
「電子立国日本の自叙伝」を読んでいた時には考えられなかったことです。

最近のいわしのお気に入り、竹内健さんのツイートにもこんなのが・・・

 

竹内健さんは東芝でフラッシュメモリの研究をされてた方で、今は中央大学の教授さんです。元々半導体業界出身なだけに、様々なメディアで現状の日の丸半導体業界の体たらくを憂う記事をよく書いておられます。

中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 竹内研究室

日本半導体敗戦

 

以前読んだ本では、湯之上隆さんの「日本「半導体」敗戦」って本も面白かったです。
こちらも半導体業界の出身で、竹内さんと同様に様々なメディアで記事を見かけます。

微細加工研究所(湯之上 . NET) Home - 湯之上隆

 

DRAMのエルピーダメモリも2012年に会社更生法を申請して、今ではアメリカの半導体大手マイクロン・テクノロジーの傘下企業になっています。
2012年の世界半導体売上高ランキングは、1位インテル、2位サムスン、3位TSMCで、6位にようやく東芝が顔を出します。7位はルネサスですね。
1990年の世界半導体売上高上位企業のうち、現時点でランキング上位に残る日本企業は東芝のみ、NECや日立はエルピーダ、ルネサスに名前を変えて、ランキングには出てこなくなりました。
 

昔はよかった 「電子立国日本の自叙伝」の時代

いわしはもちろん半導体に関しては素人ですし、業界事情もよくわかりません。
でも、いわしが20年以上も前に「電子立国日本の自叙伝」を読んで、単純に「日本の半導体は世界一なのだ!」と思ってた頃とはえらく状況が違います。ルネサスといい、エルピーダといい、どうしてこんなことになったのでしょうかねぇ。

「電子立国日本の自叙伝」をワクワクしながら読んでいたあの当時は、半導体やPCを含めた電子産業全体に夢があったような気がします。
とはいえ、「夢」などと言う言葉自体が、現実を知らない人間の夢物語なのかもしれませんが・・・

世界で勝負する仕事術

竹内健さんの「世界で勝負する仕事術」という本は、半導体開発の最前線で戦い続けてきた方の奮戦記です。

この本を読むと、技術以前の問題で足を引っ張られるという大手組織の問題点がよくわかります。大手の内向き志向、大局よりもメンツ優先、年功序列、どの問題も技術そのものとは何の関係もありません。NECでは壮絶な内部抗争が続き、会社が弱体化していったという話は有名ですよね。ルネサスでもきっと同じようなことが起こっているのでしょう。

あのとき、経営は判断を誤った 会社がダメになった瞬間 ソニー NECほか | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]

 

「電子立国日本の自叙伝」の時代は遠くになりにけり、されど、「電子立国日本の自叙伝」の夢よもう一度・・・

竹内さんや湯之上さんを始め、NECや大手半導体メーカー技術者の方々はどんな思いでルネサスの苦境報道を見ているのでしょうか。とはいえ、もう「昔はよかった」と言っている場合ではないし、過ぎたことをグチグチ言っても仕方ありません。竹内さんのように、現実を真摯に見つめ、現場で戦い続けるしか道はないと思います。

いわしも一応はIT業界の端くれ、ドッグイヤーと呼ばれるほど移り変わりの激しい業界ですが、竹内さんと同じように現実を真摯に見つめ、現場で戦い続けます。

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