見てきました 映画「子宮に沈める」大阪で公開

スポンサーリンク

子宮に沈める

画像は映画.comよりお借りしました

以前から見たかった映画「子宮に沈める」が、大阪の第七藝術劇場で公開されました。

母親を演じる伊澤恵美子さんや緒方貴臣監督の舞台挨拶が初日にあるのと、早く見たいということもあって、公開初日に大阪へ行ってきました。

映画「子宮に沈める」大阪の第七藝術劇場で公開

第七芸術劇場

以前から見たかった映画「子宮に沈める」が、大阪の第七藝術劇場で公開されました。

初日ということもあり、第七藝術劇場の館内では立ち見が出るほどの盛況ぶりでしたよ。元々大阪2児餓死事件を題材にした映画ですから、ご当地の大阪では「子宮に沈める」に対する関心も高いのでしょうね。

「子宮に沈める」
監督・脚本: 緒方貴臣
キャスト : 伊澤恵美子・土屋希乃・土屋瑛輝・辰巳蒼生・仁科百華・田中稔彦

http://sunkintothewomb.paranoidkitchen.com/

緒方貴臣監督2013年最新作『子宮に沈める』映画公式サイト

過剰な演出もなく淡々と描かれる

映画「子宮に沈める」マヨネーズをすする

さて、映画「子宮に沈める」を見た感想ですが・・・やっぱり途中からは恐ろしくて直視できませんでしたねぇ。

映画自体は過剰な演出もなく、固定カメラのシーンばかりが続きます。そこに音楽や説明は一切ありません。幸せだった親子が少しずつ荒んでいく様子が淡々と描かれます。
これだと退屈な映画のように聞こえますが、その淡々とした演出がこんなに恐ろしいとは思いませんでした。

子どもとの幸せな生活、夫との別れ、そして母親は風俗入りして男を連れ込むようになり、それに伴って少しずつ部屋が乱れていきます。そして時折音もなく暗転するシーン。感情や説明を抑えた展開が、逆に見る側の想像力をかきたてます。

映画の冒頭に母親がロールキャベツやキャラ弁を作るシーンが出てきます。子どもたちのために料理を作り、娘とあやとりをして遊んでいます。それらのシーンには、説明は一切出てきません。ただ何気なく続く日常のシーンから、愛情をこめて子どもを育てる母親の姿が浮かび上がってきます。

そして夫との別れ、風俗に勤めている友人の訪問。そこにも何が原因で、何が転機になったのかは描かれていません。夫との諍い、友人との会話やその仕草から、母親に何が起こっているのかが分かります。

夫と別れた母親は、幸せだった日々から一転して仕事に追われるようになり、少しずつ疲弊していきます。そんな母親の変化を感じた娘は、気を惹くためにわざと牛乳をこぼして母親を困らせます。

子どもの世話もままならなくなり、あれだけ愛情を注いで育てていた子どもたちが疎ましくなっていく・・・

ここで誰かが手を差し伸べればよかったのでしょう。寄り添う人がいればよかったのでしょう。しかし、母親の周りには相談できる家族も、信頼できる友人もいなかった。

映画「子宮に沈める」変貌する母親

風俗勤めの母親は服装が少しずつ派手になり、部屋に男を連れ込むようになります。きれいだった部屋にはゴミ袋が積まれ、生活が乱れていきます。母親は辛い現実や手のかかる育児から逃げ、大量のチャーハンを作り置きして出て行きます。

部屋に置き去りにされた子どもたちはただ困惑し、母親の帰りを待ちます。まだ幼い弟にミルクを作って飲ませようとする健気な娘。

でも、水で作った冷たいミルクはおいしいはずもなく、弟は衰弱してついに動かなくなります。部屋は乱れ、食べ物もなく、娘がマヨネーズをすする姿はとても直視できません。時折混ざる羽音はハエでしょうか。

そして、突然母親が部屋に帰ってきます。変わり果てた子どもの姿。異臭のする部屋。呆然とする母親に「遅いよ、ママー」と言ってすがる娘。

結末はここでは書きません。ラストシーンはぜひ映画館で確かめてください。

映画「子宮に沈める」上映後の舞台挨拶

映画「子宮に沈める」 舞台挨拶後

「子宮に沈める」上映後は緒方貴臣監督、母親を演じる伊澤恵美子さん、娘役の土屋希乃さんの3人で舞台挨拶がありました。弟役の土屋瑛輝くんも舞台に上がる予定でしたが、後ろの通路からホントのお母さんと一緒に挨拶をしていました。

大阪は大阪2児餓死事件のご当地ですから、観客から厳しい反応があるかもしれないと心配されていたようですが、全然そんなことはありませんでした。伊澤恵美子さんが「大阪の皆さんに温かく迎えてもらえた」と涙ながらに語っていたのが印象的でした。

舞台挨拶の後は緒方監督、伊澤さん、土屋姉弟で撮影会です。ちょっとピンぼけ気味になってしまった・・・瑛輝くんはなかなかおとなしくしてくれませんね。まあ、子どもだから仕方ないけど。お母ちゃんも大変だぁ~(^_^;

映画「子宮に沈める」トークショー

映画「子宮に沈める」トークショー

「子宮に沈める」上映後に、第七藝術劇場の下の階にある「シアターセブン」にてトークショーが行われました。

司会は児島良謙さん(NPO法人虐待問題研究所理事/虐待防止活動家)、パネラーは緒方監督と上原よう子さん(NPO法人虐待問題研究所代表/虐待防止活動家)です。

「子宮に沈める」は2010年7月に大阪市西区で起こった大阪2児餓死事件を題材にして制作された映画です。この事件で子どもを放置した母親の下村早苗は、懲役30年の実刑が確定しています。

緒方監督は、この事件を批判も擁護もない視点で撮りたかったとのこと。説明や感情などを極力排して、淡々と流れていく演出は、批判も擁護もない視点というところから生まれたのでしょう。

ネットでは母親の悪評ばかりが目立ち、殺すなら生むなという意見も多かったそうですが、その見方にも疑問を抱いたそうです。

大阪の事件に限らず、子どもの虐待や育児放棄はどこでも起きています。そのたびに母性という言葉が独り歩きして、母親だけが糾弾される世の中の論調。

「子宮に沈める」というタイトルは、母性という言葉を抱え、世間の常識や固定概念に縛られた母親が、母性の象徴である「子宮」に沈められてしまったという趣旨でつけたそうです。

児島さんと上原さんは、「出会いによって人は変わる」という理念の下で、下村早苗のような母親を救いたいとのこと。お二方のNPO法人では、近所のサポートや行政との連携によって、虐待を受けた子どもを救う活動をされているそうです。

誰にでも起きる育児放棄

「子宮に沈める」では、カメラは一度も部屋の外には出ていません。部屋での出来事だけが描かれています。徹底的に作り手の主観を排した構成が、逆に様々なメッセージを投げかけてくるようです。

神聖化された母親像を守ろうとするシングルマザーにとって、経済問題や社会からの孤立、子育てといった現実に立ち向かうにはあまりにも非力です。この事件は、母親だけが悪かったのでしょうか。そして、これは誰の身にも起こりうることだと思いました。

この映画は普通の映画館で上映してもらうことはなかなか難しいそうです。確かにこの内容は賛否両論があるでしょうし、メジャー受けする内容ではありません。でも、緒方監督はできる限り映画館での上映にこだわりたいとのこと。

映画館ではまったくの他人が隣に座り、同じ映画を見ています。そんな中で、この事件はもしかしたら自分たちの隣の出来事だと感じ、みんなで何かを考えるきっかけにしてほしいそうです。

特に、この事件が「自分とは関係ない」と思っている人に見てもらいたいと言ってました。

「子宮に沈める」の背景と、この記事の趣旨は大いにつながっていると思います。

http://www.huffingtonpost.jp/osamu-sakai/baby-japan_b_4648685.html

赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。 | 境 治

「子宮に沈める」の母親もそうですが、風俗嬢はシングルマザーが多いそうです。子持ちのお母ちゃんってやっぱり大変なんだなぁ。

http://www.j-cast.com/2014/01/30195542.html

(1/2) 託児所つきの風俗店が「セーフティネット」 クロ現「シングルマザー」貧困特集に大反響 : J-CASTニュース

「孤独が、母を追いつめる。」この映画のキャッチフレーズです。
この母親は子どもの頃に虐待を受け、中学や高校ではかなりの問題児だったそうです。だからと言って、この母親が母にになる資格はないのでしょうか。子どもを死に至らしめたのはこの母親ですが、罪を負わせれば問題は解決するのでしょうか。

母親が孤立する原因は何なのか。我々の固定概念や無関心が母親を追い詰めていないか。この映画は見る人によって評価が変わり、意見も違ってくるでしょう。でも、それが緒方監督の狙いなのだと思いました。

http://synodos.jp/info/5804

母親を子宮に沈める社会 ――大阪二児遺棄事件をもう一度考えるために | SYNODOS -シノドス-

みなさんもぜひ映画館へ足を運び、子育てや親の役割について自分なりに考えてみてください。この映画を見て、母親が大変な思いをしていわしを育ててくれたことがよくわかりました。

そんな母親も亡くなってすでに数年経ちました。生きているうちにもうちょっと孝行しておけばよかったなと思います・・・ (-_-)

最後はサイン会です。「子宮に沈める」のパンフレットを購入して、緒方監督、伊澤恵美子さんからサインをいただきました。自分の順番が来ると、みんなそれぞれの想いや感想を緒方監督に語っているのが印象的でした。この映画を見ると、いろいろ考えてしまうんですよねぇ。

映画「子宮に沈める」サイン会

大阪十三にある第七藝術劇場での「子宮に沈める」上映スケジュールです。次は九州、3月には京都でも上映予定とのこと。

1月25日(土)~1月31日(金)14:45(1日1回上映)
2月1日(土)~2月7日(金)20:55(1日1回上映)

こちらは緒方貴臣監督のtwitterです。いや、ホントに盛況でしたねぇ~(^_^)

おおよそ3ヶ月前にこのブログで「子宮に沈める」のことを書きましたが、この映画を見たいという願いがやっと叶いました。よかったよかった・・・

スポンサーリンク
PC用
PC用

フォローする