無料オンライン画像編集ソフト「PIXLR X」で本物のはんこから電子印鑑を作成して、ワードやエクセルで作成した請求書や見積書などのビジネス文書に押印する方法をご紹介します。
ワードやエクセルの書類に電子印鑑を押印してPDFに変換すると、いちいち紙に印刷して押印する手間が省けるので、メールで見積書や請求書を送る際の作業効率が一気に向上します。
電子印鑑の作成は無料のウェブアプリを使うので、費用は一切かかりません。社印や認印が必要な書類をワードやエクセルで作成されている方は、ぜひはんこを電子印鑑に変更してみてください。
なお、以前の記事ではFlashベースのPixlr Editorで電子印鑑を加工していましたが、ChromeがデフォルトでFlashをブロックするようになったので、PIXLR Xに変更しています。
以下の記事でさらに簡単な電子印鑑の作成方法を紹介しています。PIXLRが使えない場合や、もっと手軽な方法を試してみたいという方は参考にしてください。
電子印鑑作成ツール 無料で印影背景を透明化 印鑑透過で電子印鑑を作成する
見積書や請求書に電子印鑑を押印
会社で使う見積書や請求書などのビジネス文書は、大抵エクセルやPDFで作成されていますよね。
自社で見積書や請求書を作成するときは、一度紙に印刷してから会社のはんこ(角印)を押印してお客さんに渡しています。
たまにメールで送ってというお客さんもいるのですが、エクセルからそのままpdfに変換すると社印がない書類になってしまうので、一度印刷してはんこを押したものを、改めてスキャンしてからpdfに変換しています。
でも、この作業はわざわざ紙に印刷して押印しないといけないので、とても面倒です。できればエクセルで作成したものをそのままpdfに変換して手間を省きたいところですが、そのためにはエクセルで扱えるはんこの画像が必要になります。
見積書や請求書に会社印が無くても法的に問題はないのですが、一般的な商習慣として会社印はあったほうがいいし、できればpdfの書類も紙と同じような体裁にしておきたいですよね。
というわけで、無料のウェブアプリ「PIXLR X」を使ってはんこの画像から電子印鑑を作成して、ワードやエクセルに貼り付けられるようにしてみました。
これで「印刷→はんこ捺印→スキャン」の3プロセスが省略されて、エクセルから直接pdfに変換できるようになるので、メールで見積書や請求書を送る際の作業効率が一気に向上します。
電子印鑑に変換するはんこは、認印や社印、角印、ゴム印など、何でもOKです。ただし、電子印鑑は簡単に偽造できるので、法的効力のある代表印や実印、銀行印の変換はおすすめしません。
画像編集ウェブアプリ「PIXLR」で電子印鑑を作成
はんこの印影画像から電子印鑑を作成するために、オンラインで画像を編集できる「PIXLR X」というウェブツールを使います。PIXLR Xは無料でありながら、photoshopの代用として十分に使えるほどの機能を備えた画像編集ツールです。
オンライン画像編集ツール PIXLR X
以前のPixlr Editorとは違って、PIXLR XはFlashを使わないウェブアプリなので、Windows、Macを問わず、どのブラウザでも利用できます。スマホで使えるモバイルアプリもありますよ。
はんこの印影をPIXLRに取り込む方法としては、スキャナではんこの印影をスキャンするのが一番確実ですが、スマホで撮影した印影を使うという手もあります。
あと、PIXLRでは色の調整ができないので、美しい電子印鑑を作成するなら、なるべく朱肉の色がはっきりした印影を使いましょう。
スマホで撮影した印影を電子印鑑に加工
まずは日本で一番多い名字「佐藤」さんの認印をスマホで撮影して、電子印鑑に加工してみます。
最近はスマホでも十分に美しい写真が撮れるので、スキャナがない場合はスマホの画像を使ってください。仕上がりに影響するので、印影はなるべく明るい場所で撮影しましょう。
上のリンクからPIXLR Xを立ち上げたら、まず初回の操作を選びます。「画像を開く」で、PCに取り込んだはんこの印影画像を選択してください。
印影画像をドラッグ&ドロップしたり、クリップボードから貼り付けることもできます。
※ 以下、印影画像がクリアで補正の必要がない場合は、「電子印鑑の背景を透明にする」まで飛ばして読んで下さい。
PIXLRで印影画像を開きました。左側のツールで画像を加工していきます。
印影画像の切り抜き
まずは周囲の余白を極力減らすために、印影に合わせて画像を切り抜きます。左のツールから「切り抜き」を選んで、印影を囲んでください。
グリッドをつまんで印影を囲みます。印影が傾いていたら「水平にする」で調整してください。失敗したら下の「取り消す」か「やり直す」で画像を元に戻しましょう。
画像を囲ったら、下の「適用」をクリックして切り抜きを確定させてください。
この通り、印影周りの余白がなくなってサイズが小さくなりました。
印影画像の色調整
この印影画像は少し背景が暗いので、色や明るさを修正しましょう。
左のメニュー「調整」を選んで、コントラストをかなり右側まで振ると、背景が白に近づいていきます。印影の色との兼ね合いを考えて、適当なところに合わせてください。
あとは最後の仕上げとして「調整」の彩度または自然な彩度を右に動かすと、朱肉の色が鮮やかになります。印影をお気に入りの色に調整してください。
印影の鮮明度を変えるなら「フィルター」を選び、シャープや滑らかさを変えるのも手です。
最初の印影を元に、ここまで加工できました。なかなかよい感じです。
スキャンした印影を電子印鑑に加工
スキャナがある場合は、なるべくスキャンした印影画像を使うようにしてください。
スキャン画像をPIXLRで編集します。印影が少し傾いていたので「水平にする」で修正しました。ちなみに「鈴木」と「高橋」は、日本で2番目と3番目に多い苗字です。
切り抜きした印影画像は、そのままでも電子印鑑として十分に使えますが、彩度とコントラストをいじって、さらに鮮やかな色合いに調整しました。あとは画像を透過PNG画像に変換しましょう。
電子印鑑を透過PNG画像にする
作成した電子印鑑はこのまま保存しても十分に使えますが、文字が被った場合は印影の背景に隠れてしまいます。印影の背景を透明にして、透過PNG画像の電子印鑑を作成しましょう。
印鑑の背景を消す
左のツールから「カットアウト」を選んで、「マジック」ツールを選択します。モードが「消去」になっているか確認してください。
次に「隣接部分のみ」をオフにします。これで印影の外側を選ぶだけで、消去しにくい内側の余白や隙間まで一気に選択することができます。
続いて印影画像の余白をクリックすると・・・ご覧のとおり、印影の内側にある余白まで一気に消去できました。チマチマと余白を消す必要がないので楽チンですねぇ。
公差で印影の境界を調整
画像を拡大すると、細かな背景の消し残しがあったり、朱肉の境界があいまいで滲んだように見えます。背景が残ってしまった場合は、公差を修正して印影と背景の境界を変更しましょう。
まずは「取り消し(undo)」操作で背景を消す前に戻してください。windows のショートカットは「ctrl + z」です。続いて「公差」の数値を調整すると、印影と背景の境界が変わります。
公差の数値を増やしてから、もう一度印影の余白をクリックして背景を消しましょう。この印影は公差60ぐらいにすると、ちょうどいい感じになりました。
画像が小さくて細部が確認しづらい場合は、右上のナビゲーションで画像を拡大縮小します。ショートカットキー「ctrl+ +」「ctrl+ -」を使いながら作業すると効率がアップしますよ。
あとは印影と余白の境界が定まるまで、取り消し(undo)と公差の調整を繰り返します。
消し忘れの背景やゴミは「描画」ツールで消してください。入り組んだ部分は画像をなるべく拡大して、ブラシのサイズを小さくすると消去しやすくなります。
ブラシの硬さは100%にすると薄消しに、0%にするとブラシの範囲がすべて消えます。
電子印鑑を透過PNGで保存する
完成した電子印鑑は下のボタンで「保存」します。
「ファイル名」で好きな名前をつけて、拡張子は必ず「PNG」を選びます。JPGやPXDは背景が透明になりません。幅や高さを変更して電子印鑑をリサイズすることもできます。
あとは電子印鑑をダウンロードして、透過画像になっているかどうか確認しましょう。
電子印鑑をエクセルやワードに押印
完成した電子印鑑をさっそくエクセルに貼り付けてみました。
エクセルで電子印鑑を扱う場合は、単純に画像をコピーして貼り付けるだけです。サイズはその場で調整するか、印影と同じ大きさの画像を事前に作成しておきましょう。
背景が透明になっているので、文字が被っても大丈夫です。もちろん、紙に印刷しても何ら遜色はなく、本物の印鑑が押してあるように見えます。
電子印鑑を紙に印刷してから、本物のはんこを押印して比べてみました。電子印鑑も本物のはんこもほぼ同じように見えますね。かなり拡大しないと違いはわからないでしょう。
ワードも基本は同じですが、画像の設定を変更しないと思い通りに電子印鑑を配置できません。
ワードで電子印鑑を扱う場合は、こちらの記事を参考にしてください。
よく使う会社の社印や角印、認印、ゴム印等を電子印鑑に変換しておけば、いちいち紙に印刷して見積書や請求書に押印する必要がなくなります。
押印が必要な書類をワードやエクセルで作成されている方は、ぜひはんこの電子印鑑化を試してみてください。
エクセルやワードで使える電子印鑑作成ツール
最後に、他の電子印鑑作成ツールをご紹介します。認印や社内用の印鑑なら、出来合いのもので十分です。電子印鑑を作成するのが面倒という方は、これらのツールを使ってみてください。
白舟書体がフリーで提供している電子印鑑作成ツール「Web認印」は、PDFや電子印鑑にも使える認印が手軽に作成できます。会社内で使うような非公式のハンコで、本物の印影でなくてもよい場合は、こちらをオススメします。
Microsoft Excel用アドイン「Excel電子印鑑」は、各種ビジネス印の作成・押印だけでなく、自作のユーザー印も登録することができます。作成・押印までエクセル上で全て完結するので便利ですよ。
おすすめ電子印鑑作成フリーソフト「パパッと電子印鑑Free」は、無料とは思えないほど多機能で、ワードやエクセルにドラッグ&ドロップするだけで押印することができます。
コメント
参考になりました。
ありがとうございました!!
わざわざコメントをいただきありがとうございます。お役に立てたのなら何よりです(^^)
有難う御座います。
当方、東日本大震災で店舗兼住宅が崩壊・流出して
再建途中なので、このようなツールを活用させて頂いて
大変感謝しております。
御社、今後益々のご隆盛をご祈念いたします。
2016/10/23 mo-ri- より (^-^)
わざわざコメントをいただきありがとうございます。
私も親類が東北におり、大きな被害を受けたので他人事とは思えません。
早期の再建を心からお祈りいたします。
ずっと悩んでいること、ここで解決しました。
ありがとうございました!
そりゃよかった・・・お役に立てて光栄で~す(^^)
丁寧で分かりやすい説明、ありがとうございます!
ただ、
①shipping toolで四角に切り抜き、
②それを貼り付ける、
以上の方法だと更に簡単!スグにできました。
(素人の私なりに考えた方法です。 ご参考までにお伝えします(^-^))。
お~こんな簡単な方法があるんですね。さっそく試してみます(^^)
最近はこの手のツールも使いやすくなって、電子印鑑が簡単に作れるようになりました。
記事を修整しないといけませんねぇ・・・(^_^;
ううこ様、ありがとうございます。
⇑ もちろん 透明の背景で出来ます。
私の環境ではsnipping toolで透過画像が作れませんでした。残念・・・