WordPressのバックアップ用プラグイン「BackWPup」の使い方と、クラウドストレージサービス「Dropbox」を組み合わせて、WordPressバックアップ作業を自動化する方法をご紹介します。
BackWPupはスケジュールを設定しておくと、バックアップを自動的に実行してくれる便利なプラグインです。データベースや全てのファイルをバックアップして、自分のPCにダウンロードしたり、外部のクラウドサービスに保存することができます。
WordPressでウェブサイトやブログを運営していると、予期せぬトラブルに巻き込まれてデータがすべて消えることがあります。
バックアップ作業をBackWPupで完全自動化してDropboxに保存しておくと、ウェブサイトやブログが消滅するような最悪の事態でも、バックアップデータから復元することができます。
最近はWordPressを狙った攻撃が増えているので、サイトのバックアップ設定は必須です。
WordPressバックアップの重要性
WordPressでウェブサイトやブログを運営していると、思いもよらぬトラブルに巻き込まれてデータが消えてしまうことがあります。
2012年6月に起こったファーストサーバのデータ消失事件や、2013年8月のロリポップWordPressサイトハッキング事件なんかはまだ記憶に新しいところですよね。このようなことはどこでも起こりうるし、明日は我が身かもしれません。
最近ではWordPressを狙った攻撃が増えて、より一層セキュリティに気を配る必要が出てきました。とはいえ、WordPressを維持管理するためにはある程度の知識が必要ですし、ブログに集中したい一般の方にとって、管理までやるのは大変です。
不測の事態が起こってウェブサイトやブログが消滅しても、バックアップさえあれば何とかなります。普段の管理まで手が回らないという方も、バックアップだけは必ず取るようにしてください。
というわけで、WordPressのプラグイン「BackWPup」と、オンラインストレージサービス「Dropbox」を使って、定期的にバックアップが取れる仕組みを作りましょう。
WordPressにはバックアップ用プラグインがたくさんありますが、BackWPupは一度設定するだけで、復元のために必要なWordPressの構成ファイルとデータベースのバックアップが自動的に取れるようになります。バックアップのスケジュールや保存する場所も選べますよ。
以前のBackWPupは英語版しかありませんでしたが、最近のバージョンでは日本語にも対応しているので、さらに使いやすくなりました。
Googleドライブや差分バックアップに対応した有料版のBackWPup Proもありますが、普通に使う分には無料版で十分です。あと、75ドルはちと高い・・・
WordPressの仕組みとバックアップの基本
バックアップを取る前に、WordPressの基本構造についておさらいしておきましょう。
通常のウェブサイトは、「静的ページ」と呼ばれるHTMLファイルで作られていますが、WordPressで構築されたサイトは「動的ページ」と言って、アクセスの度にデータベースからデータを呼び出してHTMLファイルが作られています。
ページのソースを見ると、どちらも同じようなHTMLが表示されますが、静的ページはサーバ内のHTMLがそのまま表示されるのに対し、WordPressの動的ページを構成するPHPファイル自体には、ウェブサイトの内容は何も書かれていません。
中身を構成するテキスト文はデータベースに保存されていて、PHPはそのテキスト文を呼び出してHTMLを再構成しているのです。
静的ページのバックアップは、サーバー上のデータをそのままバックアップするだけで済みますが、WordPressのような動的ページは、サーバのデータとデータベースのデータの両方をバックアップする必要があります。
データベースをバックアップしてくれるWordPressプラグインは、WP-DBManager、WP-DB-backup辺りがメジャーですが、サーバ上のWordPress本体ファイルまではバックアップしてくれません。そこでBackWPupの出番となるわけです。
BackWPupのバックアップ保存先はサーバー内だけでなく、DropboxやSugarSync、アマゾンS3、Microsoft Azureなどのクラウドも選択できるので、一度設定しておけば外部へのWordPressバックアップ作業を自動化することができます。
一般的な外部バックアップ先としては無料のDropboxか、有料のSugarSyncのどちらかになりますが、まずは無料で使えるDropboxにバックアップファイルを保存してみましょう。
BackWPupのインストール
では、BackWPupの使い方を紹介します。まずはプラグインのインストールから。
ダッシュボード左メニューの「プラグイン」→「新規追加」に進み、右上の検索窓から「backwpup」と入力してください。BackWPupが見つかったら「いますぐインストール」をクリックします。
「プラグインを有効化」をクリックすると、BackWPupがインストールされます。続いて機能の紹介や無料版とPro版の違いが表示されるので、機能向上のために情報を提供するなら「Yes, I agree」をクリック、不許可ならメッセージを閉じてください。
BackWPup 一般設定
BackWPupのインストールが完了すると、ダッシュボードの左メニューに「BackWPup」の項目が追加されます。
こちらがBackWPupのダッシュボードです。昔は英語版しかなかったのですが、バージョン3.1.3から日本語化されたので、とても使いやすくなりました。
では、さっそくBackWPupでバックアップを取ってみましょう。バックアップスケジュールは週に一度、構成ファイルとデータベースの両方をサーバ上のバックアップ用フォルダにバックアップします。実行時間はサーバーの負荷を考え、アクセスの少ない午前4時にしました。
ダッシュボードには「新しいバックアップジョブを追加して保存したいものを計画します」とあるので、まずはその通りにやってみましょう。
左メニューの「BackWPup」→「新規ジョブを追加」に進むと、BackWPupジョブの一般設定が表示されるので、上から順に設定していきます。
まずは「このジョブの名前」から。わかりやすい名前をつけてください。ここでは「ブログ定期バックアップ」という名称にしています。
「このジョブは…」には、次の5項目があります。
- データベースのバックアップ
- ファイルのバックアップ
- WordPressのXMLエクスポート
- インストール済みプラグインリスト
- データベーステーブルをチェック
ここでは「データベースのバックアップ」「ファイルのバックアップ」「インストール済みプラグインリスト」の3つにチェックを入れてください。XMLエクスポートとデータベーステーブルのチェックは不要です。
「アーカイブ名」はデフォルトのままでOKですが、自分でカスタマイズすることもできます。アーカイブ名の置換パターンを参照してください。
「データベーステーブルをチェック」した場合、新しいタブ「DBチェック」が表示されます。
ここで各項目にチェックを入れると、バックアップ作成時にデータベーステーブルをチェックしたり、欠陥テーブルを修復することができます。
続いて「アーカイブ形式」です。解凍可能であれば何でもOKですが、windowsユーザーの方は「Zip」を、マックユーザーの方は「Tar GZip」にチェックを入れるとよいでしょう。
「バックアップファイルの保存方法」は次の選択肢から選べます。今回はサーバー内にバックアップ用フォルダを作成するので「フォルダにバックアップ」にチェックを入れてください。
- フォルダにバックアップ
- メールでバックアップを送信
- FTPにバックアップ
- Dropboxにバックアップ
- S3サービスにバックアップ
- Microsoft Azureにバックアップ ((Blob)
- Rackspaceのクラウドファイルにバックアップ
- SugarSyncにバックアップ
もちろん、外部サーバーやDropboxのようなクラウドストレージサービスにもバックアップが可能です。有料版のBackWPupを使うと、外部クラウドの選択肢が増えますよ。
「ログの送信先メールアドレス」と「メールの送信元」はそのままでOKです。メールアドレスを空にすると、ログは送信されません。
「エラー」にチェックを入れると、バックアップ中にエラーが発生したときだけメールで通知されます。バックアップの結果を毎回メールで知らせて欲しい場合は、チェックを外してください。
最後に「変更を保存」をクリックして、一般設定は終了です。
BackWPup ジョブスケジュール設定
次にバックアップの実行予定を決めるスケジュール設定です。
「ジョブの開始方法」は3通りあって、自力バックアップの「手動」、自動バックアップの「WordPressのcron」、外部からバックアップする「リンク」から選択できます。
自動バックアップを設定するので、ここでは「WordPressのcron」を選びます。cronとはスクリプトをスケジュール通りに実行する機能で、ここを選ぶと下に新たな項目「実行時間をスケジュール」が表示され、バックアップのスケジュールを決めることができます。
すぐ下に「EasyCron.comで」という項目がありますが、ここは関係ありません。
続いて「実行時間をスケジュール」の項目を設定します。
「スケジューラーの種類」は「基本」を選び、「スケジューラ」でバックアップ実行時間を決めます。バックアップスケジュールは状況に応じて決めてください。
スケジューラーは週に一度、一番アクセスが少ない月曜日の明け方にしました。スケジューラーの間隔はサイトの更新頻度によって変更してください。
ただし、バックアップデータが大きい場合はサーバーのディスク容量を圧迫するので、間隔はほどほどにしておきましょう。
「スケジューラーの種類」を「高度」にすると、「2日おき」や「月水金」といった細かいスケジュールも設定できます。
BackWPup データベースのバックアップ設定
次はデータベースのバックアップ設定です。上のタブ「DBバックアップ」を選択してください。
「バックアップするテーブル」は「すべて」を選択します。プラグインの中には使用中のデータをデータベースに保存するものがあり、WordPressのテーブル数はウェブサイトやブログによってそれぞれ違います。テーブルはとりあえず全て保存しておきましょう。
「バックアップファイル名」はデフォルトのままでOKです。
「バックアップファイルの圧縮」はどちらでもOKですが、「GZip」にしておくとかなり容量が圧縮されます。
BackWPup ファイルのバックアップ設定
次はファイルのバックアップ設定です。上のタブ「ファイル」を選択します。
バックアップするフォルダーは大きく分けて5つありますが、ここはすべてデフォルトのままでOKです。
- WordPress をインストールしたフォルダー
- コンテンツフォルダー
- プラグイン
- テーマ
- uploads フォルダー
バックアップから除外すべきキャッシュやBackWPup関連のファイルには最初からチェックが入っています。個別に除外するファイルがあれば、各項目にチェックを入れてください。
サブディレクトリにWordPressをインストールしたり、他のサイトやブログ等を配置している場合は、「WordPress をインストールしたフォルダー」で除外しておきましょう。
素のHTMLで作成したサンプルページや資料用のPDFなど、外部ファイルをサイト内で使用している場合は、「バックアップするその他のフォルダー」に記載すると一緒にバックアップしてくれます。フォルダ名は絶対パスで指定し、複数の場合は改行またはカンマで区切ります。
あとはデフォルト設定のままでOKです。必要に応じてバックアップから除外するファイルや特別なオプションを設定してください。中途半端にファイルを除外すると、サイトを復元するときに問題が起こるのでご注意を。
BackWPup プラグイン一覧
プラグイン一覧のテキストファイルもバックアップできます。全てデフォルト設定のままでOKです。
「プラグイン一覧のファイル名」はそのままでも構いませんが、サイト名がそのままファイル名になるので、日本語表記の場合は書き換えてもよいでしょう。
プラグインのリストは小さいので、「ファイルの圧縮」は「なし」で問題ありません。
BackWPup バックアップフォルダの設定
最後にバックアップフォルダを設定します。ここは最初の一般設定で「バックアップファイルの保存方法」を「フォルダーへバックアップ」にした場合の設定です。
「バックアップを格納するフォルダ」はそのままにしましたが、自分で好きなファイル名をつけることもできます。下記の例の赤い部分を変更してください。
例: uploads/backup-folder/
「ファイルを削除」は、フォルダ内のバックアップファイルの数を設定します。週一のバックアップを3ヶ月分保存するということで、12にしました。半年なら24に、1年なら50にします。
ただし、あまりファイルが多いとサーバーのディスク容量が不足するのでご注意を。最後に「変更を保存」をクリックすると、全ての設定が終了します。
今すぐ実行でバックアップ
BackWPupで設定した内容は、「今すぐ実行」をクリックすると確認することができます。「今すぐ実行」は、ジョブの設定を保存したときに表示されます。
もしくはダッシュボード左メニューの「BackWPup」→「ジョブ」に進み、ジョブの各項目に「今すぐ実行」があります。
「今すぐ実行」すると、バックアップがスタートして実行中の過程が表示されます。
「ジョブ完了」と表示されたら、バックアップは成功です。
「ログを表示」でバックアップジョブの詳細が表示されます。
これで問題なくバックアップできることが確認できました。
バックアップファイルのダウンロード
バックアップファイルをサーバーに保存すると、サーバトラブルの発生時にバックアップデータが消えてしまうので、バックアップファイルは事前にダウンロードしておきましょう。
左メニューの「BackWPup」→「バックアップ」からバックアップアーカイブを管理します。
アーカイブ一覧から該当のファイルにカーソルを当てると「ダウンロード」が表示されるので、クリックしてファイルをダウンロードしてください。
あとはダウンロードしたファイルをPCに保存しましょう。
サーバーから直接バックアップをダウンロードするという手もあります。先ほどの「ダウンロード」の右横を見るとバックアップファイルのパスが記載されているので、FTPから該当のフォルダに進んでバックアップファイルをダウンロードしてください。
バックアップデータは「zip」か「gzip」で保存されています。ログとダウンロードしたバックアップファイルのサイズが同一であれば、バックアップは成功しています。解凍して中身を確認してください。「.sql」はデータベースファイルです。
これでBackWPupの設定は完了です。後はBackWPupでカバーできない各種設定をメモしておきましょう。WordPressの「パーマリンク設定」で設定したURLの構造は必ず控えておいてください。
他に「投稿設定」の「更新情報サービス」に設定しているping送信先を控えたり、プラグインもデータのエクスポートに対応しているものがあるので、ダウンロードしておくと安心です。
Dropboxの自動バックアップ設定
バックアップファイルの保存先は、外部のクラウドストレージサービスも選択できます。
DropboxやSugarSync、アマゾンS3、Microsoft Azureなどのクラウドを保存先に選ぶと、バックアップファイルが自動的にクラウドに送信されるのでとても便利です。
ただし、SugarSyncは有料ですし、アマゾンS3、Microsoft Azureは一般向けではないので、とりあえず外部のクラウドにバックアップするならDropboxを選びましょう。
先ほどの一般設定から「Dropbox にバックアップ」をチェックします。
上部タブに「宛先: Dropbox」が追加されるのでクリックすると、Dropboxにバックアップするための設定画面が表示されます。
Dropboxの認証
ここでBackWPupとDropboxを連携させるための認証作業を行います。まずは「Dropboxのアプリへのアクセス」右側にある「Dropboxのアプリ認証コードを取得」をクリックしてください。
Dropboxのアカウントがない場合は、その上にある「アカウントを作成」から、Dropboxアカウントを取得して作業に入りましょう。
別ウィンドウが開いてDropboxに移動します。「Inpsyde BackWPup App とリンクするには Dropbox にログインしてください」とあるので、そのままログインしてください。
Dropboxにログインすると、登録した携帯電話にSMSのセキュリティコードが送信されるので、コードを入力します。
「Inpsyde BackWPup AppがDropboxに保存されているフォルダ「アプリ > InpsydeBackWPup」へのアクセスをリクエストしています。」とあるので、許可をクリックします。
「このプロセスを完了するには Inpsyde BackWPup App にこのコードを入力してください。」と表示されるので、認証コードをコピーします。
BackWPupに戻って「Dropbox のアプリへのアクセス」に認証コードを入力して、「変更を保存」をクリックします。
これでDropboxの認証が完了しました。あとは下の「バックアップ設定」で保存先フォルダーの名称を変更したり、保持するファイルの数を設定してください。
Dropboxの保存先フォルダーには、スケジュール通りにバックアップファイルが作成されています。設定するだけで自動的にWordPressをバックアップできるので便利ですね。
BackWPupとDropboxを連携させて自動バックアップを設定しておけば、サイトやブログが消えるようなトラブルが起こっても、バックアップファイルから復活させることができます。
万が一の場合に備えて、WordPressのバックアップは必ず取るようにしてくださいね。