京都でしいたけ栽培を始めました

しいたけ菌床 しいたけ栽培

2015年の夏ぐらいからしいたけの栽培を始めましたが、諸事情により2018年夏に栽培を一旦休止しました。その経緯をここでお話します。

始める前はしいたけ栽培なんか楽勝だと思っていたのですが、やってみると想像以上に大変でした。しいたけは生き物ですし、毎日世話をしてやらないといけませんからね。

とはいえ、半年ほどしいたけ栽培を続けているうちに、何となくコツがつかめてきました。ちゃんとした事業になるかどうかはわかりませんが、しばらくしいたけ栽培を続けてみることにします。

しいたけ栽培を始めたきっかけ

しいたけ栽培はウィンドミルの本業(ホームページ制作・動画映像制作)とは全く関係ないので、なぜしいたけ栽培を始めたのか、不思議に思う方もいるでしょう。

しいたけ栽培を始めることになったきっかけは、一緒に仕事をしている方が工場の跡地を所有していて、そこに植物工場を作れないかという話がことの始まりでした。

工場跡地 300坪の建屋

工場跡はご覧のとおり、300坪×2フロアの建屋が丸ごと空いてまして、井戸もあって良質の地下水が豊富に使えるという植物工場に適した場所です。でも、実際に植物工場を作るとなると、多額の投資が必要になります。

いろいろ調べてみた結果、多額の初期投資を必要とせず、身の丈に応じた規模で始めることができる菌床しいたけを栽培することになりました。

あと、京都市内で菌床しいたけを栽培している農家がほとんどない(おそらく1軒だけ)ので、後発組でも何とかなるだろうと思ったのも理由の一つです。

原木しいたけと菌床しいたけの違い

菌床しいたけをご存知ない方は下の画像をご覧ください。菌床からこんな感じでしいたけが生えてきます。

菌床しいたけ

しいたけ栽培に使う菌床は、おがくずをコンクリートブロックぐらいの大きさに固めて、しいたけ菌を植えて100日ぐらい熟成させたものです。

一度しいたけを収穫しても、菌床を半日ほど水に漬けておけば、また同じようにしいたけが生えてきます。この収穫→浸水というサイクルを繰り返しながら、1個の菌床で数回しいたけを収穫することができます。

しいたけと言えばこんな感じの原木栽培を想像しますが、原木栽培は重いし管理も大変です。

しいたけ原木栽培

それと比べて、菌床栽培は重い原木を扱う必要がなく、棚に並べて水をかければ勝手に成長してくれます。菌床は片手で持てるので女性でも扱えるし、需要に応じて菌床を増減させるだけなので生産調整も容易です。

その利便性によってしいたけの菌床栽培が普及し、今ではスーパーなどで市販されているしいたけの8~9割が、菌床で栽培されたものになっています。

しいたけ栽培は難しい

しいたけ菌床栽培

菌床を置いて水をかければ栽培できるし簡単だわ~と思って始めたしいたけ栽培ですが、実際にやってみると想像以上に難しかった。

まず最初に引っかかったのが夏場の菌床管理でした。菌床を仕入れて1回目はそれなりに発生するのですが、2回目が続かない。参考書を読み、しいたけ菌床を仕入れている業者の方にも教えを請うていろいろ試してみましたが、何度やってもうまくいきません。

そのうち秋になり、しいたけ栽培に合った気候になると勝手にポコポコ生えてくるようになりました。ホッとしたのもつかの間、今度は冬が来て温度が下がり、しいたけが成長しません。うむむ、どうなってんだこりゃ・・・

しいたけ菌床栽培 実験用温室

また壁にぶち当たりましたが、いろいろ調べてみたところ、しいたけ栽培のキモは温度と湿度の管理にあるということがわかりました。さっそくブルーシートで実験用の温室もどきを作り、その中に菌床を入れてみたところ、その効果はてきめんで、再びしいたけが成長するようになりました。

しいたけ栽培方法の本は参考になりましたが、しいたけ栽培のコツやキモまでは書かれていませんでしたねぇ。やっぱり自分で実際に試してみないとわからないことが多いです。

あと、家庭菜園なら楽しいなぁ~で済みますが、営利事業となると一気にハードルが上がります。収量不足では事業として成り立たないし、費用や販路、時間効率のことも考えないといけません。

自然を相手にするのは簡単じゃないし、農業はそんなに甘くないということがよくわかりました。今まで農業経験ゼロでしたが、少し農家の方の気持ちがわかったような気がします。

しいたけ栽培の教科書は「菌床シイタケのつくり方」という本を参考にしました。何冊か読んだ中では一番わかりやすくて、とても役に立ちました。

桂嵐しいたけ販売中

桂嵐しいたけ販売中 産直ひろば

収穫したしいたけは、今のところ京都生活協同組合コープさがの、桂川街道のタカギ産直ひろば、梅津のアスカ有機農園の3店で販売しています。

今のところは栽培規模もそれほど大きくないので、販売しているお店も限られています。栽培ノウハウをきちんと確立するまでは、手を広げず小規模の商売でガマンします。

ちなみに、しいたけには生産工場のすぐそばを流れる桂川と、風光明媚な観光地、嵐山にちなんで命名した「桂嵐」というブランド名があります。このブランド名は他の目的で使うため商標を登録しておいたのですが、事情があってしいたけに流用してます。

しいたけ栽培工場が桂と嵐山の間ぐらいにあるので、ちょうどいい名前になりましたが、まさか「桂嵐」をしいたけに使うとは思いませんでした・・・

桂嵐しいたけ販売中 京都生活協同組合コープさがの

手前味噌で恐縮ですが、味は原木栽培のしいたけに負けず劣らず、とても美味しいです。お店で見かけたらぜひ手にとって見て下さい。市場を通さず、採れたその日に直接納品しているので鮮度は抜群ですよ。しいたけに限らず、生鮮食料品は何と言っても採れたてが一番です!

もちろん、栽培時に農薬や化学肥料は一切使っていません。菌床も殺菌剤や農薬を使わず、きちんと放射能検査を受けている生産者から仕入れています。

しいたけ栽培は始まったばかりで、課題も山積していますが、今はできることから少しずつ手を付けていくしかありません。えらいことに手を出してしまったなぁというのが正直な気持ちです。とはいえ、今更引っ込むわけにもいきませんしねぇ・・・まあ、ぼちぼちやりまっさ (^^;

2016年4月末から干し椎茸の販売も始めました。よかったらこちらもどうぞ・・・

あと、しいたけ栽培設備の温度と湿度を管理するため、便利なIoTデバイス「Netatmo ウェザーステーション」を使っています。セットアップから解説しているので、よかったらこちらもご覧ください。