Adobeの電子契約・電子署名サービス「Adobe Acrobat Sign」の使い方や、電子署名の作成、受信者の署名方法をご紹介します。
Acrobat Signは誰でも使えるように署名のプロセスがわかりやすくなっており、手書きや画像など複数の署名方法に対応しているので、署名のプロセスを迅速化できます。
Adobe Acrobat Signとは
Adobe Acrobat Signは、Adobeが開発した電子署名システムで、簡単かつ安全性の高い電⼦サインをPDFドキュメントに作成することができます。
署名する契約書や文書はメールで送信・受信できるので、手間やコストを大幅に削減することができます。また、Acrobatと一緒に使えるので、PDF文書の加工や編集も可能です。
元々はAdobe Signという名称でしたが、2022年に Adobe Acrobat Sign という名称に変更され、Adobe Acrobatと統合されました。
Acrobat Signの主な特徴は以下の通りです。
電子署名を簡単に作成
Acrobat Signでは、法的に有効な電子署名を簡単に作成して、PDFドキュメントや文書に追加できるので、署名のプロセスを迅速化できます。
また、物理的な書類のやりとりや手書きの署名が不要になるので、印刷や郵送にかかるコストを節約できます。
契約書や署名の管理
Acrobat Signはメール送信、電子署名、リアルタイム追跡まで、シームレスにPDFドキュメントを管理できます。
これで署名のプロセスが効率化され、契約書や書類がすばやく承認されます。
高いセキュリティと法的有効性
Acrobat Signは、世界で最も厳しいセキュリティ標準(ISO 27001など)に準拠しており、電子署名は全て暗号化されるので、安全性が確保されています。
また、署名者の認証、文書の完全性の確認、暗号化、監査証跡など、高いセキュリティ機能を備えています。
Acrobat Signは、世界中の主要な電子署名法(ESIGN、UETA、eIDASなど)に準拠しており、世界中の先進国で法的な有効性があるので安心して使えます。
他のアプリや文書との連携
Acrobat Signは、Acrobat Reader DC や Acrobat PRO 上で使えるので、署名だけでなくPDFドキュメントの加工や編集が可能です。
また、Microsoft office 365やTeamsから署名したり、Salesforceなどと連携できるので、他のアプリや文書でも電子署名のプロセスを簡単に実行できます。
Adobe Acrobat Sign 体験版を試してみる
では、さっそくAdobe Acrobat Signの体験版を使ってみましょう。Acrobat Signは7日間の無料体験期間があり、その間に解約すれば料金はかかりません。
まずは以下のAcrobat Sign公式ページに進み、「無料で始める」をクリックします。
Adobe公式ページ Acrobat Sign
Adobe Acrobat Signの価格
次のページで個人向けの「Acrobat Standard」「Acrobat Pro」か、法人・企業向けの「Acrobat Sign Solutions」を選びます。ここではAcrobat Proを選択します。
購入すると月々1,980円ですが、7日間無料でお試しできるので「無料で始める」を選びます。
Adobe Acrobat Signの価格は以下の通りです。個人版と法人版は機能が違います。
プラン名 | 月々払い(年間契約) | 月々払い |
---|---|---|
Acrobat Standard(個人版) | 1,518円 | 2,728円 |
Acrobat Pro(個人版) | 1,980円 | 3,380円 |
Acrobat Standardグループ版(法人版) | 1,848円 | – |
Acrobat Proグループ版(法人版) | 2,380円 | – |
無料期間が終わって体験版を解約するときは、以下のページを参照してください。
Acrobat Sign解約 体験版またはサブスクリプションを解約する方法
Adobe IDの作成とログイン
すでにAdobe IDを作成済みであれば、入力してログインします。なければメールアドレスを入力して、Adobe IDを新規作成してください。
クレジットカード、またはPayPalの支払情報を入力して「無料体験を開始」してください。すでにAdobe IDのアカウントがあれば、そのまま開始でOKです。
「ご利用ありがとうございます。無料体験期間が開始されました。」と表示されたら準備完了です。「今すぐ開始」からAcrobat Proに進みましょう。
Acrobat Signのログイン方法
Acrobat Signには、以下の3つの方法でログインできます。
- ブラウザーからAcrobatオンラインサービスにログイン
- Acrobat Proをダウンロードして、PCからログイン
- スマホやタブレットのモバイルアプリからログイン
Acrobatオンラインサービスはデバイスを問わず、出先でもログインできるので便利です。インターフェイスもソフトウェア版とほぼ同じです。
Adobe Acrobat オンラインにログイン
Acrobat Signをスマホやタブレットから使う場合は、Adobe Acrobat ReaderアプリとAdobe Acrobat Signアプリをダウンロードしてログインします。
Acrobat ProはPC用のソフトウェアで、無料のAcrobat Readerをアップデートしてからログインします。
Adobe Acrobat Proをインストール
今回はAcrobat SignをPCで使うので、まずはAdobe Acrobat Proをインストールしました。
「Acrobatインストーラーを実行してください」と表示されたら、インストーラーをダウンロードします。exeファイルを実行してAcrobatをインストールしてください。
Creative Cloudのデスクトップ版とAcrobat Readerが立ち上がります。Acrobat Readerをアップグレードして、追加機能をインストールしましょう。
Adobe Acrobat Sign 電子署名を依頼
では、Acrobat Signを使って電子署名を依頼してみましょう。まずはPDFドキュメントを開いて、上メニューの「電子サイン」か、すべてのツールから「電子サインを依頼」を選びます。
「最近使用したファイル」からPDFドキュメントを選んで「電子サインを依頼」でもOKです。
「電子サインを依頼」をクリックします。
文書の受信者を追加
「受信者を追加」から、電子署名を依頼する受信者のメールアドレスと名前を入力します。
自分でも署名する場合は「自分を追加」、複数名の署名が必要な場合はさらに「受信者を追加」します。「+」マークからでも追加できます。
左の点マークをつまむと署名の順番を変更できます。ペンマークから署名者か承認者を選択して、ゴミ箱でその欄を消去します。
受信者は自分を含めて3名になりました。上から順番に署名する場合は「受信者は順番に署名することが必要」にチェックを入れます。「文書を準備」に進みます。
電子署名フィールドを追加
「文書を準備」では、電子署名のフィールドを作成したり、各種情報やテキスト、日付などのフィールドを追加していきます。
左のメニューからフィールドをクリックして、受信者が署名する場所にフィールドを追加します。この契約書では電子サインのフィールドを名前の横に配置しました。
配置したフィールドをクリックすると、フィールドタイプや署名タイプの選択、フィールド名の入力ができます。
フィールドを配置したら「確認して送信」をクリックします。
受信者にメール送信
「確認して送信」で、メールのメッセージを入力します。署名が完了しない場合に送信されるリマインダーは、なし、毎日、毎週などから選択できます。
送信先やメッセージを確認したら、受信者にメールを「送信」してください。
しばらくすると「署名用に正常に送信されました」と表示されました。
あとは受信者が署名するまで待ちましょう。Acrobatの「契約書」欄には処理中と表示され、各契約書の署名状況がリアルタイムで反映されます。
Acrobat Sign 受信者の署名方法
続いて、契約書を受け取った受信者が、Acrobat Signで署名する方法を説明します。
受信者が署名する場合、メールの「確認して署名」をクリックするとブラウザが開いて、Adobe Acrobat Signクラウドから署名できるようになっているので、Acrobatは不要です。
Acrobat Signが開きました。署名の位置は「次の必須フィールド」か「開始」でチェックします。
電子サインのフィールドをクリックして署名してください。
受信者の署名方法を選ぶ
Adobe Acrobat Signではスピード感のある処理を可能にするため、署名方法を手書きや画像などから選ぶことができます。
Acrobat Signの署名方法は以下の通りです。
- 入力(受信者名テキスト)
- 描画(PCマウスで文字を手書き)
- 画像(サイン画像や印影など)
- モバイル(スマホ画面で文字を手書き)
一番簡単なのは受信者名のテキストをそのまま署名する方法です。自動でテキスト化されるので、サインの画像や電子印鑑がなくても署名することができます。
「描画」はPCマウス等で文字を手書きして署名します。こちらも簡単で手軽です。
「画像」はあらかじめサイン画像を用意したり、電子印鑑を使う署名方法です。署名する機会が多ければ、事前に署名用のサイン画像を用意しておくと便利です。
Acrobat Signは社印や角印などの電子印鑑を使って署名することも可能です。詳しくは以下の記事をご参照ください。
参考記事 Adobe Acrobat Sign 電子印鑑でPDFに署名する
「モバイル」はスマホ上で署名を手書きしたり、サインを撮影してキャプチャする署名方法です。電話番号を入力して「送信」すると、テキストメッセージでリンクが届きます。
URLをタップすると署名欄が開くので、手書きで署名するかサイン等を撮影してください。「完了」するとスマホからAcrobat Signに戻ります。
署名を完了する
署名を入力したら「適用」してください。電子サインのフィールドに入力した署名が反映されます。
他のユーザーに署名を委任したり、契約書に署名したくない場合、契約書をダウンロードする場合は「オプション」から対応します。
「クリックして署名」すると電子署名が完了します。
確認のため「署名を完了しました」というメールが受信者に届きます。もう一度契約書を見たい場合は「契約書を開く」から確認できます。
署名手続きがすべて完了したら、「署名が完了し、保管されました」というメールが届きます。署名の証明書やタイムスタンプもAcrobatで確認できます。
Acrobat Signに自分の署名を追加する
Adobe Acrobat Signに自分の署名を追加しておきましょう。署名は自筆のサイン画像や手書き文字、テキストの他に、イニシャルも追加できます。
Acrobatの「すべてのツール」から「入力と署名」に進みます。
「自分で入力して署名」の「署名を追加」をクリックします。
事前にスキャンまたは撮影した自分の署名画像を選んで「適用」します。「署名を保存」にチェックを入れておきましょう。
あとは「電子サイン」の署名をクリックするだけで、自分の署名を配置することができます。
Adobe Acrobat Readerで電子印鑑を使う
Adobe Acrobat Signは便利な電子署名サービスですが、月々1,980円の料金が必要です。
角印や認印の押印は必要だけど、有料の電子署名までは必要ないという方は、無料のAcrobat Readerで電子印鑑を押印したり、電子署名を追加する方法もあります。
Adobe Acrobat Readerのツールには「スタンプ」という機能があり、これを使うとPDFで作成した文書に電子印鑑を押印することができます。
手順は認印や角印・社印などの電子印鑑を作成して、Adobe Acrobat Readerのカスタムスタンプに登録するだけです。もちろん、印影の作成や押印は無料です。
Adobe Acrobat Readerの使い方は以下を参照してください。
参考記事 Adobe Acrobat ReaderでPDFファイルに電子印鑑を押印する
Acrobat Signは複数の署名方法に対応しており、社印や角印などの電子印鑑を使って署名することも可能です。詳しくは以下の記事をご参照ください。