Adobeの電子契約・電子署名サービス「Adobe Acrobat Sign」で、電子印鑑を使って署名する方法をご紹介します。
Acrobat Signは手書きサインや画像など、複数の署名方法に対応しており、社印や角印などの印影画像を使って署名することが可能です。
無料でよければ、PDFビューワー「Adobe Acrobat Reader」でも電子印鑑を押印できますが、電子署名がないので法的に有効な文章ではありません。
契約書やビジネス文書の作成時に、法的に有効な署名が必要なら、Acrobat Signの電子印鑑を使ってください。
Adobe Acrobat Signの使い方や署名方法は、以下の記事をご参照ください。
参考記事 Adobe Acrobat Signの使い方と署名方法
Acrobat Signで電子印鑑を使う
では、Acrobat Signで電子印鑑を使ってみましょう。Acrobat Signは有料のサブスクリプションサービスなので契約が必要ですが、7日間の無料体験期間中に解約すれば料金はかかりません。
Acrobat Signの始め方や料金は以下の記事を参照してください。
参考記事 Adobe Acrobat Signの使い方 体験版を試してみる
まずはAdobe Acrobat Signに自社の電子印鑑を追加してみます。署名は自筆のサイン画像や手書き文字、テキストの他に、印影画像も追加できます。
Acrobatの「すべてのツール」から「入力と署名」に進みます。
「自分で入力して署名」の下にある「署名を追加」をクリックします。
署名の入力欄が開くので、「画像」から社印や角印などの電子印鑑を選んでください。
電子印鑑を選択したら「署名を保存」にチェックをいれて「適用」してください。
署名用の電子印鑑が追加されました。書類や契約書に自分の電子署名が必要な場合は、いつでもここから追加できます。
署名用の電子印鑑を押印する
続いて、署名用の電子印鑑を押印してみましょう。署名する契約書や書類のPDFを開いて、上の「電子サイン」から追加した電子印鑑をクリックします。
PDF上に印影のアイコンが表示されるので、押印したい場所へ移動させてください。
場所を決めてクリックすると押印できます。「A」マークか右下の青点で電子印鑑のサイズを変更したり、「・・・」から署名の種類を切り替えることができます。
印影の外側でもう一度クリックすると押印が確定します。これで電子印鑑による自分の署名は完了しました。
電子サインを依頼する
自分の署名が終わったので、次は受信者に電子署名を依頼します。左にある「電子サインを依頼」をクリックします。
「受信者を追加」から、電子署名を依頼する受信者のメールアドレスと名前を入力します。
複数名の署名が必要な場合はさらに「受信者を追加」します。「+」マークからでも追加できます。
受信者のメールアドレスと名前を入力したら「文書を準備」に進みます。
電子印鑑の署名フィールドを追加
「文書を準備」では、電子署名のフィールドを作成したり、各種情報やテキスト、日付などのフィールドを追加していきます。
左のメニューから「電子サイン」フィールドをクリックして、受信者の署名場所をクリックすると、フィールドが追加されます。
ここでフィールドのメニューから「署名タイプ」→「スタンプ」を選ぶと、フィールド名が「スタンプ」に変わって電子印鑑で署名できるようになります。
フィールドの右下にある「○」をつまむと、フィールドの大きさを変更できます。電子印鑑のサイズを見越して調整しましょう。
フィールドの位置とサイズが決まったら「確認して送信」してください。
ここで「署名フィールドを追加」というメッセージが表示されます。
電子署名に「スタンプ」を使う場合、別に署名フィールドが必要になります。「キャンセル」して自前で署名フィールドを追加するか、「続行」して自動配置を選びます。
受信者に署名依頼メール送信
「確認して送信」で、メールのメッセージを入力します。署名が完了しない場合に送信されるリマインダーは、なし、毎日、毎週などから選択できます。
送信先やメッセージを確認したら、受信者にメールを「送信」してください。
メール送信が完了すると「署名用に正常に送信されました」と表示されます。
受信者が電子印鑑で署名する
署名依頼を受け取った受信者が、電子印鑑で署名する方法を説明します。[署名依頼]という件名のメールが届いたら、メールの「確認して署名」をクリックするとブラウザが開きます。
クラウド版のAcrobat Signがブラウザから開くので、受信者はAdobe Acrobatをインストールしていなくても署名できるようになっています。
署名の位置は「次の必須フィールド」か「開始」をクリックすると確認できます。
スタンプのフィールドは単独で署名できないので、まず通常の署名を追加する必要があります。押印するページの上部に署名フィールドが配置されているのでクリックします。
署名方法は以下の4種類です。署名を入力したら「適用」してください。
- 【入力】受信者の名前をテキストで自動入力
- 【描画】マウス等で手書き署名
- 【画像】サイン画像や印影画像を追加
- 【モバイル】署名やサインを撮影、スマホで手書き署名
署名が完了したら「次へ」をクリックして、電子印鑑で署名します。
スタンプのフィールドをクリックして、電子印鑑をアップロードします。
署名欄が開くので、上の「画像」か「印鑑を選択」から電子印鑑を選択してください。
署名する電子印鑑を選択したら「適用」します。
スタンプフィールドに電子印鑑が追加されたことを確認したら「クリックして署名」してください。これで電子署名が完了します。
「対応完了」と表示され、確認用の「署名を完了しました」というメールが受信者に届きます。署名した契約書や文書をダウンロードすることもできます。
確認のため署名内容をダウンロードしてみました。上部に電子署名、下に押印済みの電子印鑑があります。
電子署名の有効性についても「Adobe Acrobat Sign, prod-hsmによって証明されており、証明書がAdobe CDS CAによって発行されています。」とあるので問題ありません。
「スタンプ」フィールドのデメリット
Acrobat Signで電子印鑑を使う方法ですが、署名フィールドは「スタンプ」ではなく、「電子サイン」で追加するという手もあります。
「スタンプ」署名フィールドを使うと、電子印鑑以外で署名できなくなるというデメリットがあり、受信者が電子印鑑を使わない場合は、署名のプロセスが止まってしまいます。
電子印鑑は「電子サイン」フィールドでも使えるので、署名フィールドを追加する際は「電子サイン」にすることをオススメします。
電子サインのまま署名フィールドを追加する
署名フィールドの追加は「スタンプ」と同じです。「電子サインを依頼」→追加する場所を選んでクリックします。
フィールドの右下にある「○」をつまむと、フィールドの大きさを変更できます。大きめの長方形にすると、四角の電子印鑑や横長のサインにも対応できます。
フィールドを追加したら「確認して送信」してください。
電子印鑑で署名する
受信者の署名方法は同じで、まず署名フィールドをクリックします。「電子サイン」フィールドは電子印鑑以外でも署名できます。
「画像」から電子印鑑の画像を選んで「適用」してください。
署名フィールドに電子印鑑が追加されたら「クリックして署名」すればOKです。
作成時に横長のフィールドを追加してあるので、サインや受信者名を入力してもちゃんと表示されます。
電子署名用の電子印鑑を作成する
Adobe Acrobat Signには、電子印鑑を作成する機能はありません。押印する印影画像は、事前に無料ツールやフリーソフトで電子印鑑を作成してください。
以下の記事で電子印鑑の作成方法を紹介しています。すべて無料で作成できますよ。
電子印鑑の作成方法 電子印鑑を無料で作成できるフリーソフトやサイト12選
また、有料ですが格安(1,000円以下)で電子印鑑を作成できる楽天とAmazonのはんこ屋さんも紹介してます。社印や角印、認印などの電子印鑑を本物の書体(印相体や篆書体)で作成できます。
左の角印は無料の電子印鑑フリーソフト「クリックスタンパー」で作成しました。中の認印は本物の印鑑から作成した電子印鑑で、右側は格安料金で作成した印相体の電子印鑑です。
PDF電子印鑑の画像は透過pngで作成
電子印鑑の印影画像は、なるべく透過pngで作成しましょう。
透過pngの電子印鑑は、文字の上に押印しても印影が被りません。左の「鈴木」は下の文字が被って見えませんが、右の「佐藤」は透過pngなので、ちゃんと下の文字が見えます。
透過pngの電子印鑑作成は、透過印鑑画像を無料で作成できるウェブサービス「印鑑透過」の利用をオススメします。
透過png画像を作成 無料で印影背景を透明化 印鑑透過で電子印鑑を作成する
Adobe Acrobat Readerで電子印鑑を使う
Adobe Acrobat Signは便利な電子署名サービスですが、月々1,980円の料金(Acrobat Pro個人版)が必要です。
角印や認印の押印は必要だけど、有料の電子署名までは必要ないという方は、無料のAcrobat Readerで電子印鑑を押印する方法もあります。
Adobe Acrobat Readerのツールには「スタンプ」という機能があり、これを使うとPDFで作成した文書に電子印鑑を押印することができます。
手順は認印や角印・社印などの電子印鑑を作成して、Adobe Acrobat Readerのカスタムスタンプに登録するだけです。もちろん、印影の作成や押印は無料です。
Adobe Acrobat Readerの使い方は以下を参照してください。
参考記事 Adobe Acrobat ReaderでPDFに電子印鑑やスタンプを押す方法
Adobe Acrobat Signの使い方や署名方法は、以下の記事をご参照ください。