ブログのサーバースペックを向上させるため、クラウド型レンタルサーバーの mixhost にサーバーを移行したので、その時の手順や注意点をご紹介します。
今回のサーバー移行はBackWPupで作成したバックアップデーターを使いました。これから説明する手順通りにやれば大丈夫ですが、ちょっと難しいと感じた方は、mixhostのWordPress移転代行サービスを使うのも手です。
ブログサーバーをmixhostに移行
このブログのサーバーは、ずっとさくらインターネットの共有サーバーを使っていました。
当初からトラブルもなく使い続けてきたのですが、ブログのPV数が伸びて負荷が増えたこともあり、サーバーのスペックがそろそろ限界に近づいてきました。
ここからPVを伸ばしてブログを成長させるためには、別のサーバーに乗り換えてスペックを上げないといけません。
先日、ブログのとある記事にアクセスが集中したため、サーバーリソースが制限され、503エラーが大量に発生してしまいました。
今のサーバーのままだと、今後もこのようなことが頻発するでしょう。キャッシュプラグインを使えば当座は凌げますが、根本的な解決策にはなりませんからねぇ。
というわけで、移行先のサーバーをいろいろ考えた結果、mixhostを選択しました。
まだそれほどの稼働実績はありませんが、高速WebサーバーとオールSSDの採用で機能・速度ともに申し分なく、現時点ではコスパの高い優秀なサーバーです。
また、クラウド型のレンタルサーバーなので、急激なアクセス増加時もプランの変更によるリソースの増加で柔軟に対応できます。
mixhost サーバー移行の手順
WordPressで制作したサイトを mixhost に移行する手順は以下の通りです。この手順は mixhost に限らず、他のサーバーに移行する場合も同じです。
- WordPressデータファイル(WordPress本体・テーマ・プラグイン・画像等)をバックアップ
- MySQLデータベースをバックアップ
- mixhostでドメイン設定
- mixhostでMySQLデータベースを作成
- WordPress設定ファイル「wp-config.php」の編集
- mixhostでMySQLデータベースをインポート
- mixhostにWordPressデータファイルをアップロード
- サーバー移行済データ動作確認
- ネームサーバーの変更
この流れを見てちょっと難しいと感じた方は、mixhostのWordPress移転代行サービスを使うのも手です。1サイトにつき9,980円でサーバー移転作業を代行してくれます。
WordPressをバックアップ
WordPressで制作したサイトやブログを別のサーバーに移行するためには、サーバー内にあるWordPressファイルと、テーマ・プラグイン・画像等のデータ、そしてサーバーのMySQLデータベースをバックアップする必要があります。
初心者には少し難しいのですが、WordPressには必要なデータを丸ごとバックアップしてくれるプラグインがあるので、それを使うとよいでしょう。
WordPressを移行するためのバックアップファイルを作成するプラグインは、All-in-One WP Migration や Duplicator などがありますが、オススメは一定の期間ごとに自動でバックアップを作成して、外部ストレージ等に保存できる「BackWPup」です。
BackWPup はスケジュールに関係なく、その場でバックアップを作成することが可能なので、サーバー移行の準備が整った時点で移行用のバックアップを作成するという使い方もできます。
BackWPup で作成したバックアップデータ一式です。ここからデータベースのsqlファイルをインポートして、あとは全て移行先のサーバーにアップロードします。不要なファイル等は整理しないといけませんが、わからない場合はsqlファイル以外全部アップロードでOKです。
BackWPupをもっと便利に使う方法です。定期的バックアップのスケジュール設定と、外部ストレージサービスへの保存方法を紹介しています。週に一度ブログのバックアップを作成して、DropBoxに保存しています。よかったら参考にしてください。
mixhost ドメイン設定
それでは、移行先サーバーの設定に移ります。まずはmixhostでドメインを設定します。
はじめに左メニューの「cPanelにログイン」をクリックします。下にショートカットメニューがあるので、ここから直接「アドオン ドメイン」に行ってもOKです。
cPanel 内の「アドオン ドメイン」をクリックします。
アドオン ドメインの作成で新しいドメイン名を入力します。サブドメインとドキュメントルートは自動入力されたものをそのまま使えばよいでしょう。
「このアドオン ドメインに関連付けるFTPアカウントを作成します」は、ドメインごとに管理者が違う場合、それぞれ別のFTPアカウントを作成するためのものです。言わばサーバーの共有ですね。一人で管理するならチェックは不要です。
最後に「ドメインの追加」をクリックして、ドメインの設定は完了です。
mixhost MySQLデータベースの作成
次はデータベースの作成です。cPanelから「MySQLデータベースウィザード」をクリックします。
作成するデータベース名を入力して、「次の手順」をクリックします。
続いてデータベースユーザーの作成です。ここではまずユーザー名を入力、次のパスワード入力は、ぜひ右下の「パスワード生成ツール」を使ってみてください。強力なパスワードが瞬時に生成されます。
「パスワードの生成」をクリックすると、英数字記号交じりのパスワードが表示されます。「詳細オプション」からパスワードの長さや、使用文字の種類を変更できます。
生成されたこのパスワードをメモ帳などに記録し、「このパスワードを安全な場所にコピーしました」にチェックを入れて「パスワードの使用」をクリックすると、自動的に入力されます。
パスワードは「非常に強力」です。「ユーザーの作成」をクリックすると、データベースユーザーが作成されます。
ユーザーの権限を設定します。「すべての権限」にチェックを入れて、「次の手順」をクリックします。
この画面が表示されたら、MySQLデータベースの作成は完了しています。
WordPress設定ファイル「wp-config.php」の編集
次は移行元のサーバーからダウンロードしたWordPressの設定ファイル「wp-config.php」の編集です。BackWPup 等で圧縮されたバックアップファイルは、解凍してから取り出して下さい。
「wp-config.php」をエディターで開くと、以下の部分が見つかります。ここを先程のMySQLデータベースウィザードで作成した、新しいデータベース名、データベースユーザー名、パスワードに変更します。
入力例はこんな感じになります。mixhostの場合、MySQLのホスト名は「localhost」になります。
/** WordPress のためのデータベース名 */ define('DB_NAME', 'abcdefg_testdb'); /** MySQL データベースのユーザー名 */ define('DB_USER', 'abcdefg_testdb-user'); /** MySQL データベースのパスワード */ define('DB_PASSWORD', '4j@FGks42#joP'); /** MySQL のホスト名 */ define('DB_HOST', 'localhost');
これでデータベースをインポートする準備が整いました。
MySQLデータベースのインポート
では、データベースをインポートしましょう。まずcPanelから「phpMyAdmin」をクリックします。
phpMyAdminが開きました。ここからデータベースをインポートしていきます。
先ほど作成したデータベースを左メニューから選んで、上のメニューで「インポート」をクリックします。
アップロードファイル:「ファイルを選択」をクリックして、アップロードする .sql ファイルを選択します。他の項目はそのままでOKです。
SQLファイルを選択したら、一番下にある「実行」をクリックします。
「インポートは正常に終了しました」と表示されたら成功です。データベースには作成されたテーブル一覧が表示されています。
サーバーに WordPress データをアップロード
mixhostのサーバーに WordPress データをアップロードします。
接続用FTPソフトはFFFTPを使用しました。FTPソフトの設定方法はmixhostヘルプセンターの「FTPソフトの設定方法」を参照してください。
mixhostは従来のFTPの他に、FTPS、SFTP、SCPにも対応しています。
FTPソフトは、FFFTP、FileZilla、WinSCP、Mac用 Transmit 4 の設定方法が載ってます。下記がそのリンクです。
mixhostヘルプ FTPソフトの設定方法
サーバーに接続したら、アドオンドメインで設定した独自ドメインのフォルダをダブルクリックします。
ここにWordPressデータをアップロードしてください。すべて終了するまで少し時間がかかります。
サーバーへのWordPressデータのアップロードが終了しました。あとは動作確認ですね。
mixhost サーバー移行済データ動作確認
あとはmixhostサーバーに移行したWordPressデータが正常に動作するかどうかを確認します。
mixhost には動作確認用のURLが用意されているので、ネームサーバーを変更する前でも移行したデータの動作を確認することができます。
ただ、動作確認用URLでは WordPress 管理画面にログインできないので、より完璧を期すためにPCのhostsファイルを編集してから動作確認を行いましょう。
では、Windowsでhostsファイルを編集してみます。まずはcPanelの右側、一般情報から「サーバー情報」をクリックします。
サーバー情報の「共有 IP アドレス」を確認して、コピーしてください。
続いてメモ帳を管理者として起動します。メモ帳のプログラムを右クリックし、管理者として実行をクリックします。Windows 10の場合、デスクトップ左下のスタートメニュー → 全てのプログラム → Windows アクセサリ → メモ帳 にプログラムがあります。
メモ帳が起動したら、上メニューの「ファイル」→「開く」に進みます。
下記のファイル名を入力して、「開く」をクリックすると、「hosts」ファイルが開きます。ちなみに Windows 7 や Windows 8 でもhostsファイルの位置は同じです。
c:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
hostsファイルの一番下の行に、サーバー情報で確認した共有IPアドレスと、自分のドメインを記載してください。IPとドメインの間は半角スペースを入れます。
例 : 123.456.789.123 iwashiblog.com
あとはhostsファイルを上書き保存して、ブラウザからブログのURLを入力すれば、動作チェックが行えます。表示が移行前と同様であれば問題なく移行できてますが、以下の点も必ず確認してください。
- ブログテーマは反映されているか
- 投稿ページ・固定ページは表示されているか
- WordPress管理画面にログインできるか
- プラグインは動作しているか
ここで「データベース接続確立エラー」が出た場合は、wp-config.php の設定が間違っています。データベース名やパスワードが正しいかどうか、もう一度チェックしてください。
バックアップ用プラグインの BackWPup はエラーが出て使えませんでした。これは移行先のWordPressに再度インストールする必要があります。
hostsファイル編集 Mac の場合
Mac のhostsファイルは「root」上の「etc」内にあります。通常ユーザーではhostsファイルの書き換え権限がないので、ターミナルを開いて以下のコマンドを入力します。
sudo vi /etc/hosts
hostsファイルが開いたら、あとは同じようにIPアドレスとドメインを追記して保存してください。
ブラウザのアドオンでサーバーのIPアドレス確認
あと、この状態ではどちらのサーバーから表示されているのかわからないので、ブラウザに現在表示されているウェブサイトのIPアドレスを表示する拡張機能を入れるとよいでしょう。
Chrome拡張であれば、SEO関連のツールにIPアドレスを表示する機能がありますし、IPアドレスだけを表示する「Website IP」という拡張機能もあります。
以下の記事でIPアドレス確認用のChromeとFirefoxアドオンを紹介しています。
確認が終わったら、必ずhostsファイルに追記した設定を消して、元の状態に戻して下さい。
mixhost ネームサーバーの変更
いよいよ最後の作業、ネームサーバーの変更です。ここまでの動作確認で問題がなければ、ネームサーバーを変更して移行前のサーバーから mixhost に切り替えます。
mixhostのネームサーバー情報は以下の通りです。
ネームサーバー1 : ns1.mixhost.jp
ネームサーバー2 : ns2.mixhost.jp
ネームサーバー3 : ns3.mixhost.jp
ネームサーバー4 : ns4.mixhost.jp
ネームサーバー5 : ns5.mixhost.jp
一例として、ブログのドメインを管理しているお名前.comの設定方法をご紹介します。他のレジストラも大体同じように設定するので、ご参考まで。
お名前.comのトップページ右上にある「ドメインNavi」からログインします。
上メニュー「ドメイン設定」から「ネームサーバーの変更」に進みます。
設定変更するドメインをクリックして、「他のネームサーバーを利用」タブを選択し、ネームサーバー情報を1から5までそれぞれ入力したら、下の「確認画面へ進む」をクリックします。
「ドメインネームサーバー(DNS)情報を変更します。」とあるので、情報を確認して「設定する」をクリックすると、ネームサーバー情報が変更されます。早ければ数時間、遅くても72時間程度で、自動的にmixhostを参照するようになります。
あとは先ほど紹介したIPアドレスを表示する拡張機能を見ながら、サーバーがmixhostに切り替わったかどうかを確認してください。今回は大体1日かかりました。
これでサーバー移行作業はすべて完了しました。お疲れ様でした。
サーバー移転後の表示速度は目に見えて向上し、ログインや管理画面の動作ももたつきがなくなりました。いや、mixhostにしてホントによかった。サーバー移転はとても面倒ですが、それ以上の大きなメリットが得られます。
mixhost サーバー移行後のページ表示速度を調べてみました。明らかに数値が向上しています。
サーバー移転 サブディレクトリ型サイトの場合
ブログは元々自社サイトのコンテンツという位置付けでスタートしているので、ブログのトップページURLはサブディレクトリ型になっています。WordPressも自社サイトとブログで別々です。
自社サイトURL :http://wind-mill.co.jp/
ブログURL:http://wind-mill.co.jp/iwashiblog/
この場合、WordPressとデータベースは2サイト分移転させる必要があります。サーバー内のWordPressフォルダはこんな感じになります。自社サイトのWordPressの中に「iwashiblog」というフォルダを追加して、その中にブログのWordPressを入れています。
一応、ご参考まで。
mixhostは高速WebサーバーとオールSSDを採用した優秀なサーバーです。自力のサーバー移行作業が不安な方は、mixhostのWordPress移転代行サービスもありますよ。