平成29年5月31日に開催されたエネルギーマネジメントシステム(EMS)導入セミナーに登壇して、しいたけ栽培と消費電力削減のために導入したFEMS(フェムス)の事例を発表しました。
お題は「椎茸工場におけるFEMS導入事例」で、しいたけ栽培の様子や設備・IoT機器をスライドで紹介すると共に、しいたけ栽培設備にFEMSを導入する目的とメリットを15分ほど解説しました。
今回はFEMSの事例紹介が3件あったのですが、他と比べて事業内容が非常に小さいので、えらく緊張しましたよ。
ちなみに、エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは、IoTを活用してエネルギー消費の無駄を「見える化」し、エネルギー使用量のピークカットや運用改善を通じて、消費エネルギー(電気・ガス代等)を低減させるための仕組みです。
エネルギーマネジメントシステム導入セミナーで発表
今回のセミナーは京都駅のすぐそばにあるキャンパスプラザ京都で行われ、内容はエネルギーマネジメントシステムの概要と導入事例の紹介、京フェムス補助金制度の説明がメインです。会場はご覧の通り、なかなかの盛況でした。
今回の発表は、京フェムス推進事業補助金の診断機関で、しいたけ工場の設備工事を実施した協和テクノロジィズ株式会社の白崎部長と共同で行いました。
持ち時間は25分で、しいたけ栽培施設の紹介やIoT活用事例に15分、残りの10分で白崎部長がスマート電力EMSの仕組みやFEMSの展望を発表しました。
その前の発表は天下の大企業、富士電機さんで、もう一件は京都の大きな病院のBEMS導入事例です。他の2件と比べても事例が小さくて、ちょっと場違いな感じなので、えらく緊張しました。
まあ、案ずるより産むが易しで、特に失敗もなく何とか時間通りに収まったのでホッとしましたよ・・・
消費電力見える化システムを導入
昨年完成したしいたけ栽培施設には、京フェムス推進事業補助金による消費電力見える化システムと、IoTを活用した栽培施設の環境モニタリングシステムを導入しています。
消費電力のモニタリングは、配電盤の各配線に電力量を計測するCTクランプと無線ユニットを取り付け、省電力無線のZigbeeでデータ通信を行い、PC側のソフトウェアで集計するという仕組みになっています。
無線型センサーはアドソル日進製、PC集計用のスマート電力マネジメントシステムは京都大学が開発したものです。
各センサーで収集されたデータは、PCで常時確認することができます。消費電力はグラフや数値で表示され、概算の電気料金もわかるようになっています。このデータと温度の相関を見ながら、設備を改良していくわけです。
一日ごとの消費電力を色分けして表示させることも可能です。これを見ると、やはり季節によって消費電力量が全然違いますね。冬場のエアコンはフル稼働ですが、外気温が上昇する4月や5月になるとエアコンの運転頻度が下がるので、消費電力量も一気に減っています。
エネルギーマネジメントシステム(FEMS)を導入した目的
今回しいたけ工場にエネルギーマネジメントシステム(FEMS)を導入した目的は3つあります。
運営コストで大きな割合を占める光熱費を削減すること、設備を改良するための判断基準となる環境情報を収集すること、栽培施設内の温湿度や電気料金を数値化することです。中でも一番重視しているのは光熱費の削減ですね。
植物工場は元々運営コストが高いという問題があって、人工光で運営されている植物工場の75%は赤字というデータがあります。
2009年4月に発表された農水・経産省共同の「植物工場ワーキンググループ報告書」によると、10アールあたりの運営コスト(光熱費)は施設生産の40万に対し、植物工場は1860万、何と47倍もかかるそうです。
このデータから8年経っているので、今はもう少し改善されていると思われますが、いずれにせよ光熱費は高くつくということに変わりはないでしょう。というわけで、植物工場の経営は、運営コストで大きな割合を占める光熱費をいかに削減するかがポイントになります。
とはいえ、何の指標もない状態では、光熱費を減らすための仕組みづくりができません。
そこで役に立つのが、IoTや工場向けエネルギーマネジメントシステム(FEMS)です。実際にFEMSを活用して電力使用量や温湿度を見ながら、エアコンの運転方法を変えたり、断熱材を追加するなどの設備改良を行っています。
しいたけ栽培は未だ道半ば、まだまだ改善すべき点はたくさんあるし、FEMSもフルに活用できるほどの規模にはなってません。まあ、ぼちぼちやりまっさ。
でも、しいたけ栽培がエネルギーマネジメントシステム(EMS)セミナーのネタになるとは思いませんでしたよ。来場された方の参考になったかどうかはわかりませんが、とりあえず無事に終わってよかったです・・・
京FEMS(フェムス)推進事業補助金の活用にあたり、一般社団法人京都産業エコ・エネルギー推進機構、協和テクノロジィズ株式会社の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございます。


しいたけ栽培の記録は以下をご覧ください。2015年の夏ぐらいからしいたけの栽培を始めましたが、諸事情により現在は栽培を休止しています。
